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感圧接着剤(粘着剤)の表面を指で触るとベタベタします。これはタック(べたつき)があるからです。では同じようにべたつきをもつ液体は粘着剤の代わりになるということでしょうか?答えは「ノー」です。
お菓子のクラッカー2枚とハチミツでクラッカーサンドをつくって実験してみましょう。クラッカーの面を上にして持ち、一番上のクラッカーを垂直に引っ張ってもなかなか剥がれません。2つのものを剥がれないようにくっつける力(粘着力)があると言えます。
次に、クラッカーをずらすように平行に力を入れてみると簡単に剥がれます。ハチミツは自分の形状を保とうとする「凝集力」をもたず、広がってしまうからです。粘着剤であるためには粘着力・タック・凝集力の3つの要素がすべて必要です。それぞれの特性について解説していきます。
粘着力の語源はラテン語のAdehisionで、くっつくという意味です。ふたつの物質が物理的に引きよせ合う力や、結合しようとする力のことを指します。粘着テープを貼りつけたとき、粘着剤と被着体の間(界面)に粘着力が生じます。俗に言う強粘着という表現は、このような貼りついている力が強いことを表しています。
粘着テープにおける粘着力は
先ほどの実験でクラッカーを垂直に持ち上げようとしても剥がれません。ハチミツはクラッカーをくっつける粘着力があることになります。
粘着剤の表面を指で触ったときに感じる「べたつき」のことをタックといいます。粘着剤が被着体の表面に触れた瞬間に発揮される特性を示し、粘着テープとしての食いつきの良さを表します。タックが強いほど食いつきがよく、素早く濡れる特性をもちます。
タックが強い粘着テープは、貼りつける際(濡れを促進するため)の圧力がごく小さくても強力に貼りつきます。素早く濡れるため、短時間触れただけでもしっかり接着できます。
粘着テープにおけるタックは
→ タックの詳しい解説を読む
ハチミツを直接指で触ると、べたべたして一瞬指がくっついたように感じます。ハチミツはタックがある液体だからです。
製紙や商業印刷の業界では、巨大なロール状の紙やフィルム同士をつなぐ(継ぐ)工程が発生します。この工程をスプライスといい、強力なタックをもつスプライステープが使われています。
分速1.9kmなどの高速で稼働している設備は、速度を落とすと生産効率も下がってしまいます。できる限り速度を維持したままスプライスするためには、粘着剤と被着面が一瞬触れたとき確実に接着できる性能が求められます。タックが強力になるように配合を調整した合成ゴム系粘着剤が使われています。
粘着剤の形状を保つために粘着剤の内部にはたらく力のことを凝集力(Cohesion)といいます。語源はラテン語で、接続・結合という意味です。粘着テープの丈夫さというと基材を思い浮かべがちですが、粘着剤の凝集力も重要なポイントです。
粘着テープにおける凝集力は
先ほどの実験でクラッカーを平行にずらしたとき、ハチミツが広がってしまい剥がれました。ハチミツはどろどろの液状で、決まった形状をもちません。ハチミツは凝集力がほとんどないことが分かります。
ハチミツのようにタックと粘着力をもっていても、凝集力が欠けていると粘着剤として成り立たちません。
では粘着力・タック・凝集力という3つの要素をすべて強化することができれば、夢のような最強の粘着テープが誕生するのでしょうか。残念ながら3つの特性は互いに相関関係にあるため、ひとつを極端に向上させると他の特性が低下してしまいます。
実際に粘着テープを選ぶときは用途(使い方や目的)を考慮し、より重要となる特性を見極めて、最適なバランスを模索する必要があります。ここでは、一定期間をおいた後に剥がす必要性がある場合とない場合を例にとって解説します。
1. 仮固定(あとで剥がしたい場合)
一定期間が経過した後に粘着テープを剥がすことを目的とした用途を「仮固定」といいます。あらかじめ塗装しない部分を覆い、キレイな見切りラインをつくることを目的としたマスキングテープや、輸送中に部品のズレや落下を防ぐことを目的としたストラッピングテープなどが代表的な製品です。
仮固定で最も重要なのは凝集力の強さです。凝集力が弱かった場合、粘着テープを剥がすとき粘着剤が伸びて被着面に粘着剤が残ってしまう恐れがあるためです。被着体が濡れにくい素材の場合はタックをやや強めに設定すると、貼りつきやすくなります。剥がしやすさを考慮する場合は、粘着力を弱く設定しておくことで目的に適した粘着テープになります。
仮固定として使われる粘着テープの種類(一例)
2. 恒久的な接着(剥がす予定がない場合)
2つの被着体を半永久的に接着することを目的とした用途です。粘着力が重要になることはもちろん、被着面が垂直で重量のある被着体を支える(壁に被着体を貼る)場合は、凝集力も必須です。このような場合、自然と食いつき(タック)の優先順位は下がります。
永久固定で使われる粘着テープの種類(一例)
3. 瞬間的な接着(短時間で貼りたい、軽い力で貼りたい場合)
被着体を一瞬でくっつけたい用途や、濡れを促進するための圧力を軽くする(またはなくす)ことが求められる用途です。被着体にたいする食いつきのよさ(タック)が最も重要になります。
以上が、粘着剤として機能するために必要な3つの要素です。これらは相関関係にあるため、用途(目的)に適したバランスの見極めが重要です。
粘着テープの選定にお困りの際は、当社へお問い合わせください。「どこで」「どのくらいの期間」「どんな目的のために」使用するか、被着体の素材や使用環境などの条件に合った製品をご提案します。