About us
テサグループについて
テクノロジー
アクリル系の感圧接着剤(PSA・粘着剤)は、合成したポリマー(高分子)からなります。ポリマーは、モノマーという分子を鎖状に繋げる重合反応によって生成された重合体です。モノマーの配合や重合の手法を変化させることで、粘着剤としての特性に変化をもたせることができます。
テサの工場で最初にアクリル系粘着剤が製造されたのは1956年のこと。それ以来、様々な種類のアクリル系粘着剤が誕生しました。同じアクリル系粘着剤でも、目的の用途に適した特性をもつように設計を変化させています。
一般的なアクリル系粘着剤の特徴は、紫外線(UV)による影響を受けにくく、高温多湿や風雨などの耐候性に優れ、溶剤や可塑剤への耐性に優れていることの3つです。ここでは、汎用的に使われているアクリル系粘着剤の特徴や、製造時の工夫について解説します。
原料を合成するアクリル系粘着剤に対し、天然ゴム系粘着剤はゴムの木から採取したラテックスが原料です。ゴムはタック(べたつき)をもたないため、粘着付与剤(タッキファイヤー)を加えて製造します。タックは粘着剤の食いつきや濡れやすさと深くかかわる特性です。濡れの進みが遅いと、最大の粘着力を発揮できる状態に達するまで時間がかかります。適切に濡れを促進させる(貼りつけ時に圧力をかける)工夫が必要です。
アクリル系粘着剤は一定程度のタックをもちます。よりタックを強めるために粘着付与剤を加えることもあります。しかし粘着剤の凝集力が弱まってしまう作用があることから、粘着特性のバランスを考慮して調合する必要があります。
アクリルガラスなどと同様に、アクリル系粘着剤は太陽光(紫外線・オゾン)による影響を受けにくい素材です。高温多湿や風雨などの天候による環境変化の耐性(耐候性)に優れるため、屋外で使用する用途に適します。
また、黄変しにくく透明性を保つことができるため、ガラスや透明のプラスチックを接着する用途にも適しています。
アクリル系粘着剤は表面自由エネルギーの強い素材(高極性)と相性がよく、優れた粘着特性を発揮します。高極性の代表格はPVCやPET、アルミ、スチールなどの素材です。反対にLSE(難接着材料・低極性)の接着を苦手とする場合がほとんどです。
→ プライマーの記事でLSEの解説を読む
粘着剤を塗工する工程では、有機溶剤などの溶媒を混ぜて粘度を下げる手法が一般的です。従来ではアクリル系粘着剤も同様の手法がとられます。テサではアクリル系粘着剤を加熱することで粘度を下げ、押し出し塗工する独自の技術を確立。
この技術で製造した製品をtesa®ACXplus(テサ・エーシーエックス・プラス)といいます。パーテーションを突き合わせる施工に使われている透明タイプや、粘着剤を発泡させたアクリルフォームタイプなど、様々な種類を多数ご用意しています。
自動車の外装部品を接着する用途でも、アクリル系粘着剤の両面粘着テープが使われています。高い粘着特性を長期間にわたって発揮し続けることを目的として調合された粘着剤が使われています。このように、過酷な環境条件への耐性が求められる場合や、屋外で使用される用途では調合が可能なアクリル系粘着剤が適しています。
アクリル系粘着剤を人間に例えると、ひとつの競技に特化したアスリートのような存在です。同じスポーツ選手というくくりでも競技や階級によって必要な筋肉やスキルが全く違うように、粘着テープとして求められる特性も大きく異なります。より難しい接着課題の克服を目指し、現在も調合技術の研究が続けられています。
以上が、一般的なアクリル系粘着剤の主な特徴です。粘着テープの用途や求められる特性に合わせて調合を変化させているため、同じアクリル系粘着剤でも粘着特性に違いがあります。
粘着テープの選定にお困りの際は、当社へお問い合わせください。「どこで」「どのくらいの期間」「どんな目的のために」使用するか、被着体の素材や使用環境などの条件に合った製品をご提案します。