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一般的な粘着テープは「基材」と呼ばれる支持体に「感圧接着剤(粘着剤)」を塗工したものを指します。粘着剤は固体と液体の中間のような存在で、形を変える軟らかい性質をもちます。正しい位置に粘着剤を保持する支持体を基材と呼びます。
例えるなら、エベレストの山頂を目指す登山者を導く山岳ガイドの「シェルパ」のような存在です。危険な山頂を目指す登山者が粘着剤やプライマー、ライナーたち。エベレストへの登山経験が豊富なシェルパが登山チームを山頂へと案内するように、粘着テープを目的地へと導くために必要な存在です。
粘着テープの基材は、粘着剤(感圧接着剤)を正しい位置に保持することが主な役割。そのために必要な条件は3つ。薄く、やわらかく、平らであることです。該当する素材は限りないため、粘着テープを「どこで」「どのくらいの期間」「どんな目的のために」使用するかという条件と照らし合わせ、適した素材を選択していきます。
基材がもつ素材の特性が粘着テープの機能として役割を果たすことも。クッション性に優れた素材や透明性が高い素材、光を通さない素材、電気を通す素材、水蒸気を遮断する素材など、様々な機能をもつ粘着テープがあります。耐熱性に優れた素材や、異音を抑制する(雑音を防ぐ)機能をもった素材も。
粘着テープに適度なコシを与えて扱いやすくすることも基材の役割のひとつ。機械による自動貼りつけや粘着テープのダイカット加工ができるのも、基材があるおかげです。
粘着テープの種類・素材 | 主な特徴 | 関連ページ(リンク) |
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フィルムテープ (PET、PP、PVC、ポリイミドなど) | プラスチックのシートを使用、素材の種類により特性が異なる。寸法安定性に優れる。PETやポリイミドは耐熱性に優れる。PVCは電気絶縁性と柔軟性に優れ、カラーバリエーションも豊富 | ● フィルム基材 片面粘着テープを探す ● フィルム基材 両面粘着テープを探す |
布テープ (織布、フリース) | 綿やレーヨン、PETなどの繊維を織った布を使用。粗面や凹凸面への追従性に優れ、耐熱性をもつ。引張強さに優れるが、繊維に沿って手でちぎることもできる。粘着剤を厚く塗工できる。 | ● 布基材 片面粘着テープを探す ● 布基材 両面粘着テープを探す ● ワイヤーハーネステープを探す |
フォームテープ (PEなどの発泡材料) | 発泡させた材料を使用。クッション性に優れるため、振動を減衰できる。粗面や凹凸面への追従性に優れる。膨張率の異なる異種材料の貼り合わせに好適 | ● フォーム基材 両面粘着テープを探す ● フレキソ印刷 版固定用クッションテープを探す |
紙テープ (クレープ紙、和紙など) | パルプや麻、靭皮繊維からつくられた紙を使用。軽い力でちぎることができ、作業性に優れる。耐熱性や伸縮性に優れた紙素材も。 | ● 紙のマスキングテープを探す |
アクリルフォームテープ tesa® ACXplus (テサ・エーシーエックス・プラス) | 独自製法によるアクリルフォーム(アクリルコア)テープを使用。粘弾性に優れるため、異種材料の接合に好適。耐熱性や耐候性に優れた製品。透明性が高い製品はガラスパーテーションの突き合わせにも採用されている。 | ● 建材向け tesa® ACXplus特集ページを見る |
不織布テープ | 化学繊維を織ることなくシート状に加工した素材を使用。粗面や凹凸面への追従性に優れる。耐熱性に優れ、手切れ性をもつ。 | ● 不織布基材 片面粘着テープを探す ● 不織布基材 両面粘着テープを探す |
導電性テープ | 導電性をもつ金属や、特殊な不織布、織布、フォームを使用。粘着剤に導電性のフィラーを配合した製品は、より優れた抵抗率(電気の通りやすさ)を発揮する。 | ● 導電性粘着テープを探す |
ディファレンシャルテープ (強弱粘着/異種材料粘着剤) | 基材の表と裏で粘着力や粘着剤の種類が異なる製品を指す。粘着剤が厚く塗工されている面はより優れた粘着強さを発揮する。アクリル系とシリコーン系など異なるタイプの粘着剤を塗工した製品は、異種材料の接着に使われる。 | |
基材レステープ (トランスファーテープ) | ライナーに粘着剤を塗工したもの。基材がないことで、粗面や凹凸面に対し特に優れた追従性を発揮する。厚みを最小限に抑えることができる。 | ● 基材レステープを探す |
ここからは、身近な素材を中心に各素材の特徴と粘着テープとしての機能を解説していきます。
フィルムは薄い粘着テープをつくることができます。一見すると同じようなフィルムには種類があり、素材(マテリアル)によって特徴が異なります。フィルム基材として代表的な素材はポリ塩化ビニル(PVC:PolyVinyl Chloride)、ポリエチレン(PE:PolyEthylene)、ポリプロピレン(PP:PolyPropylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET:PolyEthylene Terephthalate)などです。
PVC基材の粘着テープは、いわゆるビニールテープが有名です。軟質PVCは電気絶縁性と柔軟性に優れるため、ケーブル類の絶縁用途や左官工事のマスキング用途で使用されています。硬質PVCは形状安定性に優れるため、梱包テープなどに適します。
PEやPPは、表面の保護や部品などの一時固定・結束の用途に適しています。家電製品を購入した時に見かける仮固定用のストラッピングテープです。文房具として身近な透明の片面粘着テープもフィルム素材。テサの代名詞、テサフィルムは1936年に誕生したロングヒット商品です。現在では、PP素材に手で簡単に切れる加工を施した基材を使用しています。日本ではセルロースを加工したセロハンという素材が一般的です。
ペットボトルでおなじみのPETも粘着テープでよく使われる素材です。熱伝導性をもつため、スマートデバイスなどの内部で発生する熱管理(ヒートマネージメント)の役割を果たします。耐UV性にも優れるため、屋外で使う場合にも適しています。
この他にも、ポリウレタン(PU:PolyUrethane)やポリイミド(PI:PolyImide)のフィルムがあります。軽さや柔軟性、高温環境での使用など、必要とする条件に適した素材を使用しています。
→ フィルム基材の粘着テープについて(関連記事を見る)
綿(コットン)やビスコース(レーヨン)、PETなどからつくられる繊維を編んだ布(織布)や、フリース素材は丈夫なことが特徴です。亀裂部分の保護(カバー)、ケーブル類の結束、密閉・つなぎなどの用途に適しています。
綿やレーヨンの布は繊維に沿って割くように手でちぎることができ、丈夫さと使い勝手の良さを両立することができる素材です。丈夫で汎用的に使えるダクトテープや、舞台の立ち位置の目印(バミリ/場ミリ)として良く使われるガッファーテープも布テープの一種です。綿は自然素材を使用した素材で、昔からよく使われています。化学繊維のレーヨンは均質的で再現性に優れることが特徴。フリースはしなやかで、異音や振動を抑制する特性をもちます。
→「結束用」布/織布テープ 製品一覧を見る
→「補修用」布/織布テープ 製品一覧を見る
→「高耐熱用」布/織布テープ 製品一覧を見る
フォーム素材はやわらかく厚みがあり、粗面や凹凸面への追従性に優れます。衝撃などの負荷を吸収する性質にも優れているため、窓や冷蔵庫、家具などの装飾部材を強力に接着、固定する用途として汎用的に使われています。
フレキソ印刷の分野では専用のフォームテープが使われています。印刷機のシリンダーに版をしっかり固定し、フォーム材の硬さによって印刷の濃淡や繊細さ(網点の細かさ)を変化させることができます。高速印刷の工程で発生する振動を吸収し、印刷のヤレを防ぐ役割も担っています。
→ 汎用的に使えるPEフォームテープのページを見る
→ フレキソ印刷 版固定用クッションテープのページを見る
紙の原料は、パルプや麻、靭皮繊維などです。用途に応じて異なる種類の紙が使われています。手で簡単にちぎれて、柔軟性に優れ、伸張性をもつことが紙素材の主な特徴。180°C以上の耐熱性をもつこともあります。
梱包テープには平らでなめらかな平滑紙が、一般的なマスキングテープには伸縮性に優れたクレープ紙が使われます。「クレープ」は縮れ加工を施していること。クレープ率が高いほどやわらかく、カーブに沿わせて貼ることができます。被着面への密着性に優れる和紙は、直線の見切り用マスキングテープとして世界的に有名です。
製紙業界でのスプライス(つなぎ)や巨大な原反のエンドタブなどにも紙の粘着テープが使用されています。製紙業界ならではの取り組みとして、特殊な水溶性テープが使われています。パルパーという巨大なタンクで水に溶かし、また新たな紙をつくる「再パルプ化」ができ、資源として再生することを目的とした製品です。
→ マスキング用の紙基材(クレープ紙・平面紙)テープはこちら
→ 製紙業界向けの水溶性テープはこちら
→ マスキングテープの進化・歴史の記事を見る
これまでのノウハウを活かして開発したtesa® ACXplus(テサ・エーシーエックス・プラス)は、自社独自の製法でつくられたアクリルフォームテープです。一般的な両面粘着テープを超える性能と、粘弾性に優れることが最大の特徴。異種材料の接合で熱膨張率の違いで生じる応力や負荷を分散して和らげることができます。ガラスと金属や金属とプラスチックの接合など、異種材料の接合に適しています。
紫外線(UV)や気温・湿度などの環境変化(耐候性)に優れる点も特徴です。 耐久性が求められる長期間の使用や、屋外用途に適します。
自動車の装飾パーツ(外装部品)の固定や、ガラス板と金属フレームの固定、ソーラーパネルとバックレールの固定など、様々な業界で採用されています。優れた接着力はもちろん、屋外や長期使用に耐えうる性能が評価されています。
電気を通す導電性をもつ素材のひとつはアルミや銅などの金属箔です。スマートデバイスの内部では接地(グラウンディング)や静電気などを逃がす用途で導電性の粘着テープが使われています。
隙間埋めとしても使えるフォーム材や、織布や不織布など、導電性の機能をもつ特殊な素材が使われることも。限られたスペースの中で多機能な粘着テープが活躍しています。粘着剤にも導電性のフィラーを配合した製品は、さらに低い抵抗率(より効率よく電気を通す性質)を実現しています。
以上が、粘着テープの基材がもつ役割です。
粘着テープの選定にお困りの際は、当社へお問い合わせください。「どこで」「どのくらいの期間」「どんな目的のために」使用するか、被着体の素材や使用環境などの条件に合った製品をご提案します。