ドライバーと自動車をシームレスにつなぐヒューマンマシンインターフェース(HMI)は、自動車メーカーが今後数年間注力する分野です。既にアナログのダイヤルやボタンは、ディスプレイや車体と一体化したスマートサーフェスへと置き換わっています。しかし自動車メーカーは、さらに先進的なソリューションを求める設計者の要求に応えるため、より難易度の高い課題の解決に取り組んでいます。
UVカット性能を備えたOCAの開発
ディスプレイ製造の課題
ディスプレイメーカーは、ドライビングエクスペリエンスを自由に再構築できることを望んでいます。材料の選択肢を増やし、コストを削減し、コックピット周りのシームレスで流れるようなデザインを実現することが理想です。しかし、同時にディスプレイ内部の最も繊細な部品を保護することも考えなければなりません。
長期間にわたり太陽光にさらされるディスプレイの場合、紫外線の影響による黄変や画質の低下、電気性能の劣化が生じる場合があります。これらを防止するためには、優れたUVカット機能が必要です。
紫外線を遮断する用途として最も一般的に使用されているのが偏光版です。偏光版自体の厚さはほんの数ミリメートルですが、それでも不要な厚みを増やしてしまう要因にもなります。さらに、特に 95°C を超える温度での耐老化性が比較的低いことが問題です。
このような問題を解決するため、テサは優れたUVカット性能と部材の貼り合わせに必要となる接着強度を併せ持つ光学透明粘着剤(OCA)を開発しました。tesa® 88910 は、波長 380 nm 以下の紫外線の透過を遮断し、可視光の透過率は 99 % 以上です。この数値は、紫外可視分光計を使用して、23 °C、50 % RHの条件下でライナーやガラスを除く粘着剤のみを測定した結果です。
「OCAは、ディスプレイの著しい劣化を防ぐために適切な保護を提供する必要があります。ディスプレイが劣化すると、ドライバーのダッシュボードへの意識が損なわれる危険性があります。また、問題の部品を交換するにも費用がかかる可能性があります。」
YuKun Wu
イノベーションを実現する
自動車業界における私たちのビジネスパートナーは、この解決策を導き出すための知見を与えてくれました。それは、紫外線遮蔽性の主要規格に準拠しながら、革新的なディスプレイデザインにも対応できる汎用性を備えた OCAの開発です。
長期間の屋外暴露のシュミレーションとして、tesa® 88910 をDIN 75220 に基づいて評価した結果、OCA とその背後にあるすべてのコンポーネントの黄変を最小限に抑えることができました。評価前と比較して、OCA の黄ばみは発生しませんでした。さらに、本製品はスリムなデザインを維持しながら、低いヘイズと優れた印刷段差追従性も発揮しました。
低ヘイズと印刷段差追従性
低ヘイズはディスプレイメーカーにとって重要項目であり、層を通して光をできるだけ透過させない材料を必要としています。加速耐候性条件下でのテストでは、ヘイズが1%以下であり、ディスプレイの品質に目に見える影響はありませんでした。
それに加え、優れた印刷段差追従性を有することで、カバーパネルの加飾印刷部の隙間をしっかりと充填することができ、気泡の発生を防ぐことができます。
tesa® 88910は、より薄いフレームを可能にし、優れた印刷段差追従性を提供します。ディスプレイのデザインでは、1µm単位で影響がでます。だからこそ、当社は幅広い接着ソリューションを取り揃えることで、さまざまなニーズに合致した製品を提供することができます。
Dolly Cheng
テサのOCA製品
ディスプレイ業界の進化とともに、デザインニーズも進化しています。だからこそ、私たちはOCA製品のラインナップ拡充に取り組んでいます。持続可能性は、素材の責任ある再利用を促す重要な要素です。そのため、可能な限り材料を再加工し、リサイクルする必要性が高まっています。当社のOCA製品は、そのニーズにお応えします。
私たちはお客様が抱えるサステナビリティの目標達成における課題解決に向けて最適なソリューションを見つけご提案します。