易解体性粘着テープで持続可能なプロダクトデザインを次のレベルへ

テクノロジー

易解体ソリューションの開発により、テサは革新的な新世代の粘着テープを市場に投入しようとしています。これらは、製品の補修を容易にし、廃棄物の削減やリサイクルの促進、循環型社会の実現を後押しします。

私たちテサは、部品を強力に接着しながらも、必要な時に剥がせるオンデマンド剥離機能をもつ「易解体性粘着テープ」を多く開発しています。例えば、世界中のスマートデバイスでバッテリー固定にご採用いただいているtesa® ボンド&ディタッチシリーズは、テープ端を引っ張ることで被着面に粘着剤の跡を残さず剥がすことを可能にしてきました。将来的には、永久固定や構造接着の分野にも易解体技術を取り入れることで、剥がす手法もさらに多様化していき、接合技術に画期的な進歩をもたらすことでしょう。

当社の専門家チームは、この革新的な接着技術の実現に向けて全力で取り組んでいます。易解体ソリューションは、製品設計、製造段階での再加工、使用段階での補修、製品ライフサイクル終了時のリサイクルなど、多くの産業に新たな可能性を生み出します。私たちテサは、接着と剥離の分野における新たな世界へと歩みを進めています。

「易解体性粘着テープ」とは、信頼性の高い接着強度を維持しながら、迅速かつ永続的に接着でき、必要に応じて完全に剥がしたり、場合によっては再接着したりすることもできる高機能な粘着テープを意味します。これは、廃棄物の削減や資源の節約、循環型社会の実現に繋がります。業界における持続可能性のパイオニアとしての地位を確立したい企業にとって、非常に魅力的なソリューションといえます。

資源の節約と循環型社会の促進

易解体技術は、携帯電話や自動車のディスプレイから電気自動車(EV)用バッテリーまで、幅広い用途で大きな可能性を秘めています。不良箇所の部分補修ができればメーカー側は新たに部品を生産する必要がなくなり、消費者は製品を長く使うことができます。また構成部品の多くを簡単に分解できる仕組みに変更できれば、効率よく資源を回収でき廃棄物を削減できます。回収された資源を再生しまた使うことで循環型社会(サーキュラーエコノミー)の後押しとなります。

当社はOEMと協力し、再剥離性を持つテープの開発を進めており、製品開発の先進段階にあります。過去10年間では、糊残りなく粘着テープを除去できるtesa® ボンド&ディタッチを開発しました。そして現在は、構造用粘着テープを電気やレーザー、誘電加熱などによってオンデマンドで剥離できる技術に力を入れています。糊残りのないクリーンな剥離性をさまざまな手法で実現することで、お客様のニーズや製品ライフサイクルに合わせたご提案が可能となります。また、部品や素材のリサイクル率を高めることで持続可能な社会の実現に貢献します。オンデマンド剥離機能を基板や材料、全体の設計に組み込むためには、お客様との早期の連携が成功の鍵となります。

長年培った粘着テープ設計技術と新たな易解体技術を組み合わせることで、接着信頼性と再剥離性を両立した製品をご提供します。私たちは、お客様の設計自由度に対するご要望に最大限に応えることを目指しています。

50

件以上の特許を易解体性粘着テープに関して申請しています。

tesa® DoD (Debonding on Demand) 易解体性粘着テープシリーズのメカニズム

01電気剥離

低電圧の電気は、被着体への糊残りなく、わずか数秒で粘着テープを剥離することができます。

02レーザー剥離

わずか数秒で、近赤外線(NIR)レーザーの光が粘着テープの特殊な層に反応し、被着体から剥離することができます。

03熱剥離型接着促進剤

熱剥離型接着促進剤は、130℃前後の高温で反応し、被着体から粘着テープを剥離させることができます。

04誘導加熱式剥離

現代のキッチンコンロと同じように、電磁場を使って熱を発生させます。粘着テープの特殊な基材が無接触誘導に反応し、剥離を引き起こします。

05溶剤剥離

少量の溶剤を接着面に塗布し、粘着テープの剥離を誘発します。

06ストレッチリリーステープ

tesa® ボンド&ディタッチは、持ち手のタブを引っ張るだけで簡単に粘着テープを剥がすことができます。

エレクトロニクス業界の変革を支える

エレクトロニクス業界はすでに テサ の易解体技術を採用しています。この市場のエンドユーザーは、修理やリサイクル可能の持続可能なデバイスを求めています。欧州連合における規制の変化により、一般消費者に特別な知識や工具がなくても自分で製品を修理できる権利を与えられるようになり、オンデマンドで剥離できる製品の需要がより高まっています。この新たな市場の変化は、デバイスメーカーにとって大きな課題であり、一連の法的要件を満たす次世代デバイスを設計できるソリューションを早急に必要としています。

一般的なスマートフォンには、スクリーン、バッテリー、カメラを保護する用途を含め、当社の粘着テープがすでに約70製品使用されています。粘着テープに オンデマンド剥離機能を持たせることで、消費者は近い将来、修理や部品交換によって所有する機器の寿命を延ばすことができるようになるでしょう。 こうすることで、機器はより長く使用できるようになり、電子機器の廃棄量は減少することが期待できます。さらに、当社の粘着テープを使用することで、製造段階での再加工を行うことができ、スクラップの削減が可能になります。また、ライフサイクルの終わりにデバイスを慎重に解体することで、部品や貴重な材料を回収してリサイクルすることができます。

tesa Bond & Detach®

世界中の 18 億以上のスマートフォンに使用されています。

自動車業界のイノベーションを可能にする

それに比べて、自動車業界では、易解体技術の普及はまだ始まったばかりです。これからの道はまだ紆余曲折がたくさんあります。EU理事会は最近、バッテリーおよび廃バッテリーの生産から再利用・リサイクルまでの持続可能性規則を強化する新規制を整えました。

 

自動車に易解体技術を取り入れる最初の用途は、ダッシュボードディスプレイの部品固定です。既にエレクトロニクス市場では関連した用途で成功した実績があります。電気自動車が普及するにつれて、オンデマンド剥離機能をバッテリーやセルの取り付け、バッテリーボックスのシーリングなどの用途に取り入れる機会が増えていくでしょう。また、先進運転支援システム(ADAS)は、カメラ、レーダーモジュール、電子制御ユニット、その他の車内部品へのアクセスを容易にすることで、自動車業界における修理やリサイクルをサポートする可能性を提供します。

業界を越えたビジネスチャンスの開拓

耐久性の高い粘着テープを性能を損なうことなく剥離可能に設計することは、一見すると矛盾しており、不可能な任務のように思えます。そのため、オンデマンド剥離機能をもつ粘着テープは、あらゆる業界の循環型経済の持続可能性に貢献できる可能性があるとして、大きな関心を集めています。現在、テサ の科学者たちは将来を見据えて、7,000 種類以上の製品に剥離メカニズムを組み込むことを模索しています。 また、化学者、エンジニア、製品開発者は、お客様と協力して将来の設計に最適なソリューションを開発しています。易解体性粘着テープへの高まるトレンドは、125年以上にわたって革新的で持続可能な粘着テープを提供することで製品や人々の生活を改善してきたテサの誇り高き歴史における最新のステップです。そして、これらの接着・剥離・再接着のソリューションは、すでに世界中の市場でお客様の人気を集めています。