自家用車をはじめ、自動車業界は今も猛スピードで進化を続けています。スマート化やEV化、自動運転化などこれまでにない大きな変化の流れが世界的に起きています。
私たちテサも、これまで自動車業界を陰ながら支えてきた粘着テープメーカーとして最新技術の開発に取り組んでいます。一般のドライバーがテサの粘着テープを見つける機会はほとんどありませんが、1台の自家用車につき130種類以上の用途で粘着テープが使われています。
テクノロジー
自家用車をはじめ、自動車業界は今も猛スピードで進化を続けています。スマート化やEV化、自動運転化などこれまでにない大きな変化の流れが世界的に起きています。
私たちテサも、これまで自動車業界を陰ながら支えてきた粘着テープメーカーとして最新技術の開発に取り組んでいます。一般のドライバーがテサの粘着テープを見つける機会はほとんどありませんが、1台の自家用車につき130種類以上の用途で粘着テープが使われています。
90年前は、旧式自動車のストラット式サスペンション1つ1つに対しゴム製のゲートルを人の手で巻きつけていました。これに対し、2021年現在は全自動のロボットアームが粘着パッドを電気自動車に貼りつけています。この短期間で自家用車と粘着テープがそれぞれ驚くべき進化を遂げていることがわかります。
自動車部品の進化に合わせて、私たちの粘着テープ製品も進化を続けています。今般ポルシェとテサでおこなった共同開発のニュースは、世界中の技術者を驚かせています。日本でも人気な高級スポーツカーに粘着テープが使われているとは、にわかに信じがたいかもしれません。事実、ポルシェ Tycan(タイカン)などの製造工程では、共同開発した技術を活用して粘着テープ(ホールカバー)がロボットアームによって自動的に貼りつけられています。
自動車の車体には、塗装やアセンブリなど初期の製造工程で必要な穴があいています。1台につき200か所にあるこの穴は、車体の腐食を防ぐため塞ぐ必要があります。
従来は手作業で粘着テープを貼りつけたり、樹脂製のプラグを差し込んだりしていました。作業工数がかかる上に、作業員のスキルに左右されるため工程の標準化の難しさが長年の課題でした。この問題を解決するのが、粘着テープをロボットが素早くかつ確実に貼りつける新しいテクノロジーです。
まさに、ドイツ政府が推進する「industry 4.0(第4次革命のように、製造工程の自動化やIoT化を目指すコンセプト)」に通ずる取り組みです。しかし、ここで立ち止まって一息つく時間はありません。これからもさらにギアを上げて技術革新を進めていきます。
私たちテサグループにおいて、法人向け事業の中で最も大きい柱のひとつが自動車産業の部門です。グループ全体で約1/4(1,326 百万ユーロ:2020年)の売上を占めています。接着や結束、パーツの封止という一般的な役割を果たす製品をはじめ、様々な特徴や機能をもった粘着テープ製品をご提供しています。
最近では、自動車業界向けに「tesa® FireGuard(テサ・ファイアガード)」製品を開発しています。電気自動車(EV車)の充電池を搭載するエリアに使用する製品で、万が一火災がおこったとき乗客を保護することを目的とし500℃の炎に6分間耐えることができます。
グループ本社があるドイツをはじめ、中国やアメリカに点在する研究開発センターでは、自動車メーカー様のよきパートナー企業となるべく研究開発を進めています。また、エレクトロニクス部門も同じ法人向け事業の主軸となっています。携帯電話がスマートフォンへと進化を遂げたこの業界で培ってきた知識と経験を活かし、自動車向けの製品開発に役立てていきます。
馬車から自動車へと移動手段の時代が移り変わるとともに、道路が舗装され自動車が走りやすい環境へと整備されていきました。しかし1930年初期のドイツはまだ路面状態が悪く、整備が追いついていませんでした。小さなくぼみやバンプの上を走行するため、跳ねた泥やサビが入り込んでしまい鉄製のストラット式サスペンションはくり返し修理しなければなりませんでした。
そのとき開発されたのが「Beiersdorf's Federschutzgamaschen(バイヤスドルフ・スプリングゲートル)」です。ゴムに粘着剤が塗布された製品で、35ライヒスマルク(当時の通貨)で販売されました。ゲートル(脚絆)のようにサスペンションへ巻きつけ、上からニスを塗ることで防錆効果を高めました。
この製品は、サスペンション表面の潤滑膜を残したまま水や空気を通さず密閉できたため、サスペンションのサビは発生しなくなりました。当時「アンチエイジング」という言葉は一般的ではなかったため「何年たっても車のスプリングは新品のままです!」と、部品の劣化を防ぐことを広告でPRしていました。発売から5年後、この製品が広まったことでドイツの路面はガタガタゴトゴトする音が減り、道路環境が改善されていくにつれこの製品は役割を終えました。
85年たった現在では、サスペンションの保護ではなくワイヤーハーネスを保護・結束するという用途で粘着テープが活躍しています。自動車内部の配線を保護し、走行時のノイズを軽減する機能をもっています。この市場のサプライヤーとして、テサの売上はグローバルでトップ3に入っています。
バイヤスドルフ氏が医療用の絆創膏の開発に失敗したことがきっかけで、一般的な粘着テープが誕生しました。1890年代、絆創膏の試作品が皮膚に強くつきすぎ、炎症を起こしてしまったのです。自転車のパンク修理に活用することを思いついたトロプロヴィッツ博士は、「スポーツ絆創膏」という製品名で販売するように助言しました。
当時は悪路でタイヤのパンクが日常茶飯事だったこともあり、画期的な商品として話題のヒット商品になりました。このときの片面粘着テープが、医療用以外で初めての粘着テープです。失敗しても諦めない姿勢や、発想の転換をおこなうマインドは、いまのテサにも受け継がれています。